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2012年11月8日木曜日

サッカーのキックにおける正確性


 こんにちは、学部3年の青木です。
 今回も、演習Ⅲの時間に様々な運動の正確性を調べる実験を行いました。今回、シリーズ3回にわたって、私、渡部君、篠崎君で正確性に関する実験の結果と考察を掲載していきます。
 正確性シリーズの第二回は、「サッカーのキックにおける正確性」についてです。
 
 
実験の感想
サッカーでは狙ったところにボールを蹴れるだけでは通用しません。そのボールの質、速さ、軌道、回転など、さまざまな要素が揃った、状況に適したボールを蹴れてはじめて、試合で使えます。しかもサッカーでは置いてある、止まったボールを蹴ることは少ないです。常に動いたボールを、動きながら、動いている目標に、そして状況判断をしてどのようなボールを蹴るのか考えて、蹴らなければなりません。今回の実験はクローズドスキルであって、サッカーはオープンスキルが必要な競技で、どれだけサッカーの実践的なスキルを測定できたかは疑問が残こりました。
キックの正確性は試合中であればもっとばらつきの大きいものとなったと思います。相手のプレッシャーや天候、グランドコンディションなど正確性を下げる要素はたくさんあります。ただ、本当に良い選手というのはその正確性の低下の度合いが小さいのだと思います。オープンスキルをクローズドスキル化できる選手が「うまい」選手じゃないかと思います。
 
 
 
青木 奎樹
 
 
運動の制御において、人はある課題を普通よりも速くやろうとすると失敗する。例えば速くタイピングをしたり、はやく針の穴に糸を通そうとしたりすると普通におこなったときに比べ、ミスの回数は増えるだろう。これらは正確性の欠如からくるものである。

今回、この正確性に関わる実験を行った。どれだけ正確にサッカーボールを狙ったところに蹴れるかを調べた。

 

 

実験方法

被験者は3名。ABはサッカー未経験者であり、Cは大学の体育各部所属の選手。

サッカーボール、メジャー二つを準備する。ボールを蹴る位置を定め、そこからメジャーを伸ばす。15mの位置でもう一つのメジャーを直角に交差させる。ボールを蹴る位置からみて縦軸をy軸、横軸をx軸とし、ボールが落下した場所を座標点として記録する。メジャーの交差している点(0,0)をキッカーは狙う。数回の練習のあと、利き足で30回試行する。また、Cは目標を30mにした試行も30回行った。

 

 

結果

グラフとして以下に示した。(単位はすべて%)


                        図1、被験者の全試行


 

考察

 ばらつきの平均値を距離で割った値をみてみると、A0.163B0.113C0.096C30m0.082となった。サッカー未経験者に比べ、体育各部所属者の方がキックの正確性が高いことがわかる。ABCを比べると、ABCの順でだんだんとばらつきが小さくなっている。その傾向は特に、Y軸よりもX軸に顕著である。キックの正確性の高い人は左右のずれが小さいことがわかる。BCを比べると、Y軸方向のずれはそれほど違いがない。15mの距離では、キックの際に距離感を必要とすることはあまりないから差が出なかったのではないかと考えられる。

Cの試行を比べてみると、Cは距離が30mになると、15mの試行に比べそのばらつきが小さくなった。それは実戦により近い距離で、普段からこのくらいの距離のキックを蹴っているために、15mの結果よりもよい結果がでたと考えられる。15mの場合、X軸よりもY軸の方がばらつきは大きい。実際の競技では、この距離を浮かした軌道で蹴ることは少ないからだと考えられる。実際に試行している際も、自分のキックのずれの感覚と実際の記録に開きがあると感じた。この距離では左右の正確性のほうが重要で、人に向かって蹴るので距離感はあまり意識しない(腕以外の全身でボールを止めてよいため)ことが影響しているのではないか。30mの場合、X軸とY軸のばらつきは同じ程度である。15mの場合よりもY軸のばらつきは小さくなった。試合中であれば、相手の頭上を越えるような軌道でなければパスにならなく、この距離だと左右のずれよりも距離感の方が重要性は高いためにY軸(距離感)の精度が高まっていると考えられる。

 また、C30mの試行が一番狙った所に蹴れていた。この30mの試行の落下地点の分布に注目すると、ゴルフのアプローチでおこなった同様の実験の落下地点の分布に似ていることに気付いた。どちらも第二象限、原点付近、第四象限にボールの分布が偏っている。足を使う競技と道具を使う競技で動きも全く違うが、落下地点の分布が似ていることは興味深い。つまりミスの仕方が同じということである。動きは違うものの、ボールをインパクトする瞬間には両者に共通点がみられるではないか。

 今回実験で行った蹴り方はインフロントキックといい、インパクトの位置は足の親指の付け根の3〜4㎝手前、甲の内側でボールに対し足首を伸ばした状態で、地面すれすれをかすめながらボールの中心から下をミートしてキックするものである。一方ゴルフのアプローチのインパクトはボールの下にフェースを滑り込ませ、こすり上がるようにボールを捉えている。つまり、サッカーのインフロントキックとゴルフのアプローチはインパクトの瞬間、同じような形でボールを捉えていると考えられる。そのためにこの2つの落下地点の分布は似ているのではないか。しかしなぜ、このような分布になるか。

 自分の経験から言えば、第二象限にいってしまう原因はボールをインパクトする位置が正確に蹴れるインパクト位置より足首に近いところになってしまうこと。逆に第四象限にいってしまう原因はより親指の付け根に近いところでインパクトしてしまうことが考えられる。

 スイングスピードは同じとして、うまく狙ったところに蹴るイメージのまま、足首付近でインパクトしてしまうとボールをより厚く捉えて(足の形状を考えるとゴルフでいうロフトの立っているアイアンのようになっている)しまい、ゴルフのような表現を使えば、フェースが閉じた状態に足首がなってしまう。(足首に近い部分の方がボールに当たる面積が大きく、蹴る瞬間のボールは軽く感じ、その影響で足首を固定する時に思ったよりも内向きに固定してしまう感覚。)そのためにボールは目標より遠く飛び、なおかつ左方向にいくと考えられる。

 逆に、親指に近いところでインパクトしてしまうと、ボールを薄く捉える(足の形状を考えるとゴルフでいうロフトの寝ているアイアンのようになっている)ことになり、フェースが開いた状態に足首がなってしまう。(ボールに当たる面積は小さく、蹴る瞬間のボールは重く感じる。その影響で足首を固定する際に思ったよりも外向きに固定してしまう、ボールの重さに足首が負ける感覚)そのためにボールは目標より飛ばず、なおかつ右方向にいくと考えられる。

 これらはサッカーの経験から考えた推測に過ぎなく、ゴルフの場合はどうなのかもわからない。ただ、正確性を考える上でどうしてズレが生じてしまうのかを考えることは大切だと感じた。

 

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