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2012年11月1日木曜日

まさに“No music, No life”体験記

こんにちは、学部4年の平沼穂香です。
経験したことのある習い事はクラシックバレエ、ピアノ、そろばん、部活はマーチングバンド(ラクロスを少し)と、女の子らしい()ものが並びますが、大学1年生のときに中学生に男と間違えられたことがあるほど「女の子」とはほど遠い本性を持ち合わせています。

現在私は休学中です。アルバイトとドラムの練習に明け暮れ、最近は上腕全般の筋肉痛に悩まされています。今回は私が休学してまで今夏に何をしていたのか、を皆様に紹介したいと思います。きっと今まで聞いた事のない世界だろうと思います。

私は5月の下旬から、マーチングバンドの大会に参加するために約3カ月間アメリカに渡って生活していました。
まず、みなさんはマーチングバンドをご存知でしょうか?マーチングバンドとは管楽器・打楽器・カラーガード(手具を扱うダンサー)で構成され隊形を変化させながら演奏演技するもので、一般に知られているものではアメリカンフットボールのハーフタイムに行われるもの、あるいは何年か前に公開された“ドラムライン”という映画の題材となったものがそれにあたります。日本では多くの人が吹奏楽の延長線と認識しがちですが、この競技は見た目よりも体力的精神的にきつく、アメリカではチームによってはトレーナーが帯同するほどにスポーツとしての捉え方が強い競技です。

私が参加したのは8/9~11に行われたDCIDrum Corps International)という大会です。参加資格には21歳以下という年齢制限があり参加者は高校生~大学生が主です。大会はアメリカの学校が夏休みの5月下旬~8月中旬に行われており、8月のチャンピオンシップに向けて5月中旬頃から各チームがツアーを組み、6月半ばから全米各地でほぼ毎日のように開催される小さな大会と規模の大きな4つの地方大会で点数を重ねていきながら順位を競い合い、最後のチャンピオンシップでの1位がこの大会の優勝チームとなります。
私が所属していたのはPioneer Drum&Bugle Corp(パイオニアドラム&ビューグルコー)というチームで本拠地はアメリカ中部のウィスコンシン州ミルウォーキーです。楽器はスネアドラム(小太鼓)を担当しました。チームの規模はメンバー約60人、スタッフ25人程度でDCIでは規模の大きいチームではありません。この人数がバス3台、フードトラック、楽器運搬用トラックの5台でアメリカ各地を移動し大会に出場していきます。DCI にはこのようなチームが北はボストン、南はテキサスまで、ワールドクラス(大編成チームのリーグで私のチームはこちらに登録)に24チーム、オープンクラス(小編成チームのリーグ)に19チームの合わせて43チームが参加しています。

チームに所属するには11月(2012年夏の大会なら2011年の11月)頃から各チームで行われる3日間のオーディションキャンプに参加し合格しなくてはいけません。頻度は月に1回程度行われ、それに毎月参加しどんどん人数がふるい落とされていくシステムです。これは毎年行われ、ベテラン(2年目以上)メンバーも毎年受けなくてはいけません。11月~4月まではこのような毎月1回のキャンプでオーディション兼練習をしてメンバー構成をしていき、5月下旬からムーブインと呼ばれるチームでの共同生活でのより本格的なチーム作りが始まります。
5月下旬から大会の始まる6月半ばまでの2~3週間はスプリングトレーニング期間と呼ばれ、ほぼ一か所に留まり大会で披露する演目を完成させます。そしてツアーに入ると移動は全てバスで行い、それぞれの大会開催地近くの中学校か高校を借りてその体育館や教室に各自持参の寝袋、エアーベッド等で寝泊まりをし、そこのグランドを使って練習を行います。食事はフードトラックから配給されます。練習は全て屋外で行うため、お会いした方は分かると思いますが帰国直後の私は日本人では通常ありえない程の日焼けをしていました。(笑)
1日の流れ】
 7am   起床
 7:30am ストレッチ&筋トレ
 8am  朝食
 9am  リハーサル(音の練習)
 1pm    昼食
 2pm    リハーサル(動きの練習)
 5pm    夕食
 6pm    リハーサル(動きに音を付ける練習)
 9pm    ミーティング&軽食
     シャワー等の自由時間
 11pm   消灯
本番のない日の標準的な1日の流れはこのようになり、日によってこれよりも練習時間が長かったり、大会のある日は練習を午後のブロックを半分くらいで切り上げて移動し本番会場に向かうという感じです。そしてその本番後の10pm頃から次の場所へ移動という生活形態です。
1回の移動距離は約80マイル~600マイルで、近い時は夜中や翌早朝に到着、遠い時は1日がかりでの移動になります。ツアーが始まると移動時間=睡眠時間なので基本的にバスの座席で寝ることになり、早朝に到着してもそれから練習開始までは23時間くらいしか与えられなく、横になってゆっくり寝られる時間は短くなります。日を重ねる毎に疲労は蓄積されていくのに体を休める時間はほとんどないので体力的にはかなり厳しい状況に置かれます。練習時間内の休憩時間は長くて5分、普通は水分補給のためだけの休憩だけなので精神的にもかなり鍛えられます。
ツアー中、ハウジング先がなかったり、フードトラックが壊れて毎食ホットドッグだったり、バスは冷房が全然つかなくて蒸し風呂状態だったりと、挙げたらきりがありませんが生命の危機を感じるといっても過言ではない状況に置かれたこともありました。今となっては日本では決して“決して”経験することのできないある意味で貴重な体験をしたと笑って言えます。また、中高のときには夢のまた夢と思っていたDCI への参加、アメリカで自分がプレーすることの実現、異国の地で異なる人種の人々と一つのものを作り上げるために共同生活し喜びや苦しみを共有したことへの達成感は私の世界を広げ、今まで以上に人や日々の日本での生活へ感謝する気持ちをくれました。そして日本はなんて素晴らしい国なんだ!と実感し日本がより好きになりました。
私がこの3カ月の生活で強く思ったことは、「音楽は言語を超える」ということです。言語というのは大きくは母国語と外国語に分けられてしまいますが、音楽には人種の違いや個人の生活環境とは関係なく共通する部分があることを肌で感じました。もちろん文化や人生経験の違いが表現の仕方や捉え方の違いを生むことはあります。でも、言葉が無くても一人が何かリズムを叩きだせばそれに合わせてリズムを重ねていく者、叩かなくともそのグルーブ感を身体で表現する者、そこに共通して生まれる笑顔は皆同じ人間なんだということを強く感じさせてくれました。

今私はまたアメリカの別の大会に出場するために挑戦をしている最中です。挑戦するというのは疲れますね。でもそれによって得られるものは結果が失敗でも成功でも私にとっての大きな糧になることを知っていますし、挑戦することで成長していく自分が分かります。だから楽しくてやめられないのだと思います。自分自身挑戦しながら、日本にこの競技がもっと浸透していってほしいと強く思います。

最後に、本番前や練習後に全員で輪になって言うチームの合言葉のようなものを紹介して終わりたいと思います。この言葉が3カ月間の生活を集約したものと言えるでしょう。日本語に訳してしまうとうまく伝わらない気がするので、英語のまま失礼します。
長文読んでいただきありがとうございました。
Thank you Load,
For the togetherness and friendship we share,
For the hard-working members of the Corps
For the Corps itself
Instill us the True Spirit of Competition
Taking the pain of losing
And the joy of winning
All with a smile
Remind us Load
That by doing the very best we can do at all time
WE WILL HAVE A WINNING CORPs



平沼穂香

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